余類 -竜の棲家 / 夜よ明けるな-
思い立って山へ行った。去年の夏の燃えた後から芽吹く草とか、もはや文字を伝える意味を失うほどに苔むした看板とか、標識代わりに木に巻きつけられたビニールテープの朽ち方とか、そういうものに魅力を感じた。(ミニチュアのような住み慣れた街の眺めなんてどうでもよかった)
どうやら、人がいた形跡が自然に還っていく様に魅力を感じるようだ。余類の音楽もそうだ。ギターと二つの声、そしてドラムもしくはピアノという、どうしようもなく人間によって鳴らされる音がそういう印象になるのは不思議なものだが、それこそが音楽の、芸術の、特異性の一つだと思う。
また、そういった風に思わせてくれる音楽がこの街には幾つあるだろうか。少なくとも、余類はある。僕をそれをなんと素晴らしいことか、と思う。最大限の賛辞を
Reviewed by Kaishu Yagi
1. 竜の棲家
2. 夜よ明けるな
機材等紹介冊子付き